vor.42 5つ目の前世 ニーナとロメオ②
気を失ったニーナは牧師に助けられました。
「子供が連れ去られたので助けてほしい」と頼むと、
「子供が連れ去られて外国に売られたり、金持ちの小姓にさせられてしまうのはあなたもお分かりのはず。子供は二度と戻ってこないのだから諦めなさい。」と、牧師はニーナに当たり前という顔で言いました。
現在の私は何で?と納得できません。
牧師とあろうものが、なぜそう簡単に子供を諦めろと言うのか、とても腹立だしい気持ちになりました。
ニーナの気持ちに意識を向けると、ニーナにはその言葉が良く理解できたようです。
そしてその当時の町の現状も浮かんできました。
その頃は、いろんな外国の人たちが町にあふれ、商業的にも発展し始めていました。
それと同時に今までなかったような犯罪も増え始めたようです。
若い女性や可愛い子供たちが、突然行方不明になることが頻繁に起こっていました。
外国に売り飛ばされたり、貴族の小姓にされることは町の人誰もが分かっていたようです。
けれど、追求することは許されず、ただ諦めることしかできないようでした。
それともうひとつ浮かんだことは、生活が貧しいためにわざと子供を多く産み、親が子供を売るようなことも多かったようです。
それを分かっているニーナでしたが、まさか自分の子供ロメオが連れ去られてしまうなんて思ってもみなかったのです。
今ロメオがどんな状況になっているのか、悪戯されていないか、傷つけられていないか、
もしかしたら命を奪われているんじゃないのか、精神がおかしくなるのではないかと思うほど苦しんでいます。
ニーナにとって、ロメオは自分の子供以上の存在でした。
場面が移りました。
ニーナは町の中を歩いています。
ひどくやつれ落ち込んでいます。
ロメオが連れ去られてから2年近く経過していて、まったく消息がつかめないままでした。
ニーナは諦めません。 ロメオをずっと探し回っています。
不思議とロメオが無事で近くにいる・・・なぜだか分からないけれどそう感じていました。
来る日も来る日も自分を責め続けています。
あの時どうして守ってやれなかったのか、できることなら過去に戻ってロメオを救い出したい。
苦しみは薄れることなく、さらに日を追うごとに大きくなっていきました。
現在の私の気持ちも重くなりました。
ニーナが過去をやり直したいという気持ちは私にはよく理解できました。
私も過去の失敗をもう一度戻ってやり直したいとよく思うことがありました。
ニーナには疑問がありました。
どうして執拗にロメオを追いかけてまで奪っていったのか?
そのことが分かるまでまだ年月がかかりました。
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