vor.43 5つ目の前世 二ーナとロメオ ③
ロメオと生き別れてから10年経過していました。
ようやくロメオの消息がつかめました。
ロメオとニーナはとても顔がよく似ていました。
ある日、知り合いが町でニーナにそっくりの男の子を見たと教えてくれました。
年齢的にもロメオと同じくらいだったというのです。
その男の子は、馬に乗ってある屋敷に入ったとのことでした。
ニーナは半信半疑でしたが、どんな小さな情報でもロメオの手かがりになるのであれば調べに行きました。
屋敷の外からのぞくと、その家の主人らしき男が見えました。
ニーナはハッとしました。 その男はロメオの実の父親だったのです。
瞬時にロメオは実の父親のもとで暮らしていることが、ロメオの姿を確認していないのになぜだか分かりました。
ロメオの父親とは短い付き合いで、彼がどんな人物かはその当時まったく知りませんでした。
ニーナは知ろうともしなかったようです。
どこかの金持ちの息子が遊んでいるんだくらいしか思っていなかったのです。
愛について恐れや諦めという気持ちが強かったようです。
ニーナの妊娠が分かるとその男は、ぷっつり姿を消してしまったのです。
ニーナは強いショックを受けました。 いろんな感情がぐるぐる交差しました。
苦しくなってその場から逃げるように離れました。
その当時の男の仕打ちがよみがえってきました。
そしてさらに自分から息子を奪った憎しみ、10年間、ロメオがいない悲しみと苦しみにただ耐えるしかなかった思い。
ロメオに対する強い愛情。 やり場のない思いが爆発しそうでした。
今すぐロメオに会いたい ! ! ! 屋敷に忍び込んででも、連れ戻したい ! ! と、はやる気持ちと
同じくらいロメオを奪った父親を殺してやりたいほど憎んでもいました。
でも、こんなで心の状態でロメオに会っても、憎しみに取りつかれた自分を見せるだけで
どんなにロメオを悲しませるだけだろう・・・
もしかしたら私のことは覚えていないかもしれない・・
会いに行く行為は彼にとって、ただ迷惑なだけなのかもしれない・・・・
いろんな感情や考えがあふれてどうにもなりませんでした。
会いたい気持ちが押し寄せて、ドアのほうへ駆け寄るのですが、
ロメオに迷惑がかかるという気持ちが出てまた椅子に座りなおす・・・
そんな行動をニーナは、何度も何度も繰り返しています。
眉間にしわを寄せ、頭をかかえ、涙が止まりません。
現在の私はニーナの様子を見てとても心苦しくなりました。
自分を必死に押さえ込んでの行動には泣きたくなくなりました。
そしてどうしようもない時、自分の気持ちをコントロールできない時に、同じ行動を繰り返してしまうのは、思い出してみると、現在の私にもある気がしました。
苦しみぬいた挙句、ニーナはもうロメオとは会うことはできないと決断しました
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