vor.13 -レオンとサラ ③- 前世の娘が今世の姉?
次の場面では、レオンがいなくなってから、2年近く経過していました・・・
全くの音信不通。
私はいつも丘から下の町に続く一本の道を見続けました。
いつ帰ってくるかもわからない・・・今帰ってきているかもしれない・・・
でも、期待して見ても、そこには彼の姿はありませんでした。
その頃のサラは22歳くらいですが、結婚適齢期を過ぎています。
周りから「結婚しろ」とうるさく言われます・・・
どこどこの家には牛が多いから、そこに嫁げとか、早く子供を産めだとか
私は全く他の人との結婚なんて考えられませんでした。
私は、レオンだけしか見ていませんでした。
一番辛かったのは・・・・
「レオンはもう死んだ・・・きっと病で倒れたんだろう・・・あんな息子のことは、もうあきらめなさい」という言葉でした。
それがサラの一番心を痛めていることでした。
時々、隣の村の船乗りになった息子が流行り病で亡くなったという知らせが届きます。
遺体は家族のもとに戻るわけもなく、感染を恐れてそのまま海に捨ててしまうということでした。
その当時は死に対して、いつでも身近にあるものとしてとらえられていて、
体力のない小さな子供が亡くなるのはよくあったし、大人でさえ、近くに病院がないので、
こじらせて亡くなるケースも多かったようです。
その当時は、音信不通 = 死 でした。
そのことを聞く度に 身が切られるような気持になります・・
自分の感情を制御できなくなります。
どうしてもレオンじゃなきゃダメ ! ! ! !
私の頭も心もすべての細胞がそう叫んでいました。
(今の私とたぶります・・・他の人は考えられないという感覚は全く一緒でした・・・ )
寂しさに耐え、自分の心と日々葛藤を繰り返しました・・・
彼の存在はとても大きく、とてもかけがえのない大切な人だということをいつも思い知らされました。
【次の場面に変わります】
それは、サラが待ちに待ったレオンとの再会の日でした。
サラがいつものように牛の乳を搾っていると、後ろから聞き覚えのある声がしました。
「おーーーーい サラ ! ! !」
体が固まり、手が振るえて、心臓が波打ちます・・・
サラは、振り向き立ち上がりました。
道の先に手を振るレオンの姿をとらえました。
足が全くおぼつかないまま走りました。
牛乳を入れていた桶がひっくり返りますが、そんなことはどうでもいいのです。
彼が帰ってきてくれた、そのことで頭がいっぱいです。
力いっぱい抱きしめます。
彼のぬくもり、骨格、肌の質感、ただ ただ懐かしいのです。
無事に帰ってきてくれた喜びと、私は間違っていなかったという確信と
3年間も、ほったらかしにされた怒りが出てきて何もしゃべれません。
いろんなものがこみ上げてきて滝のように泣きました。
レオンは、以前よりもずっと日に焼けてたくましくなっていました。
そして、一回りも二回りも成長したということが分かりました。
( 体験中の私もうるっときました。でも、泣くとなんとなく恥ずかしかったのでぐっと我慢してしまいました )
【次の場面に変わります】
私はレオンとすでに結婚していて、3歳の男の子と 5歳の女の子 2人の子供がいます。
とても楽しそうな夕食の団欒です。
レオンは、子供たちに船で回ったいろんな国のことを話しています。
子供たちは、目を輝かせて聞き入っています。
私は幸せな気分です。
私は女の子を呼びます。
彼女はとても可愛らしい子です。
彼女の目を覗くと、現在の私の姉の顔がかぶってきました。
私はびっくりして、つい大声で 「お姉ちゃん ? ? ? ? ? ? ?」と言っていました。
( これには本当にびっくりしました。まさか、現在の姉がその女の子とかぶるなんて・・・
姉がその当時の自分の子供 ? ? ? ?そんなこともあるんだーーー )
次に男の子を呼びます。
その子の目を覗きます。
「・・・・・この子は 知らない・・・・今世で(現在の人生)は会ったことがないと思う」
( この子とは、まだ出会えていないんだーー少し寂しい気がしました )
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