vor.28 アルバートとマリー ⑤
マリーのお葬式から3~4年経ったぐらいの場面です。
【現在の私】アルバートは立ち直ったかな?
マリーとアルバートの住んでいた家の前です。 マリーと住んでいた頃と比べ、全く手入れされていない様子です。 なんだか荒れています。
【現在の私】 もしかして・・・アルバートはまだ?
マリーと現在の私の意識は、家の中に入っていきました。
アルバートはテーブルにうずくまっています。 周りは黒い瓶が散乱しています。
家の中は荒れ放題です。 アルバートは、髪がぼさぼさで無精ひげも伸びています。
顔色は悪くかなり痩せています。 当時の面影はなく、ひどく酔いつぶれています。
マリーは悲しそうにアルバートの頭を撫でています。
もう何度アルバートに声をかけたり、なぐさめたりしたのか・・アルバートには全く伝わりません。
マリーは赤ちゃんと一緒にずっと見守り続けていたようです。
愛する人がどんどん落ちぶれていく様を見ていなくてはなりませんでした。
今まで自分を責め続けていたマリーでしたが、「この人を立ち直らせるためなら、なんでもやる !」 マリーは強く思いました。
すると、あの光がまた上空に現れました。 アルバートは全く気づきません。
その光は「あなたはそこにいるべきではない。心残りがあるのであれば一度だけ彼と話をしなさい。」と言ってくれました。
【現在の私】マリーが死んだ時に見たあの光だ~
マリーはうなずきます。 今まで酔いつぶれていたアルバートが、ふいに顔を上げました。
【現在の私】えっ? マリーに気づくかな ?
アルバートの顔が驚きの表情を浮かべています。
どうやらアルバートの目には、マリーと生まれるはずだった赤ちゃんを目でとらえた様子でした。
くもっていたアルバートの目は生き返り、大粒の涙を流しています。
マリーは再び光と出会い、もうここにいるべきではないと分かったようです。
アルバートを心配する気持ちも、すっきりクリアになりました。
マリーは死んで初めてアルバートに声をかけられました。
「私はもうここには存在していないよ。 あなたはまた新しい人生を送らなければいけないよ。 私の事はもう忘れて・・。また次の人生で一緒になろうね。」
アルバートは何度もうなずきました。しっかり目に焼き付けておこうと、何度も涙をぬぐっています。
マリーは立ち直ってくれると確信したようです。 赤ちゃんと共に光の中へ消えていきました。
【現在の私】なんだか映画のお話みたい・・ ホッとした分、嬉しさが込み上げてきました。
次の場面に移ります。 マリーの人生を振り返ることにしました。
現在の私が前世のマリーに質問します。
私 「マリーの人生はどんな人生だった?」
マリー 「短い人生だったけど、大切なものに気づけた人生だった。アルバートには悲しい思いをさせてしまったけれど、こんなにも愛してくれたということに気づけた。今まではアルバートの気持ちを、どこかで疑い続けて信用していない自分がいた。自信がない自分がいた。」
私 「左わき腹の違和感はマリーが教えてくれたの?」
マリー 「そう。」
私 「どうして?」
マリー 「あなたは 私と同じ気持ちになっていた。ソウルメイトという存在を知っても疑い信用していないところがあった。そのためにソウルメイトの愛を思い出す必要があった。」
私 「そうかもしれないけど・・・やっぱり疑わずに信用するって難しいよ。」
マリー 「そう・・・それもあなたの学び。 その難しさも経験で学び取らないといけないよ。日によって 疑ってもいいし 信じてもいい・・その繰り返しの中で学べるから・・・ゆっくりあなたのペースでいいからね」
私 「まだよく分からないけど、自分のペースでいいんだね。」
少しホッとしたら、急にアルバートと赤ちゃんのことが心配になりました。
私 「アルバートと赤ちゃんはあれからどうなったの?」
マリー 「アルバートは自分の寿命までちゃんと生きたよ。生涯独身だったけれど、悲しみからいろいろ学んだよ。赤ちゃんはまた会えるよ。」
私はアルバートに対し何とも言えない愛しさを感じました。そして赤ちゃんとマリーに対しても・・
最後に私の左わき腹の違和感のもととなったエネルギーを見ていきました。
面白いことに、左わき腹には馬のひづめがめり込んでいました。
マリーの命を絶ったあのひづめです。 ひづめをゆっくりはがしていきました。
それをじーっと見つめました。 このひづめがあったことで、私はどんな影響を受けていたのか? 「疑い 信じられない」という言葉が出てきました。 マリーと私の共通しているエネルギーでした。
左わき腹にあった「馬のひづめ」のエネルギーを解放した後 私の感じていた違和感・・左わき腹がなくなっているような感覚はスーッと消え、じわじわ実体を得たようにわき腹の感覚が戻ってきました。
本当に不思議な感覚でした。 セラピー前は傾いて座っていたのに、気がつけばいつのまにかまっすぐに座っていました。
私は改めて前世のマリーのことを考えてみました。
マリーは短い一生だったが、大切なものに気づけたと言っていた・・・ もうすぐ産めるはずの赤ちゃんや、自分の命まで失って気づけたことってそんな大切なことだったのだろうか ? ? ?
頭で冷静に分析しようとするのですが、心は「それでよかった」と納得している自分がいました。
一見悲劇の人生だったかもしれないけれど、私の中では強い愛情を感じられたことの嬉しさと マリーの人生の中で、隠されていた私のネガティブな気持ちに気づけたことの方が何倍も私自身を満たしてくれました。
そしてソウルメイトという存在も、今まで信じよう信じようと無理していたのかな ? と思えてきました。時に信じることも疑うこともいいんだ・・・そう思えると気持ちが軽くなりました。
それを繰り返すことでまた新たなことに気づいていけるんだろうと楽しみにもなりました。
自分の中のネガティブな気持ちを外すことによって、今までとは違う考えを持つようになります。
そして、ソウルメイトは完璧な存在ではないのかもしれない・・・ この時初めてそう思えました。
0コメント